秋の七十二候 立秋から霜降まで

立秋から霜降まで、八月のはじめから十一月のはじめまでの十八候です。涼しい風、白い露、稲の実り、渡り鳥の行き来と、少しずつ空気が澄んでいく様子が言葉に表れています。

立秋りっしゅう8月7日ごろ・Beginning of autumn

暦の上で秋が始まる日です。暑さはまだ続きますが、この日からの便りは暑中見舞いではなく、残暑見舞いになります。

第37候・8月7日〜8月12日ごろ

涼風至すずかぜいたる

暑さの中にも、涼しい風を感じはじめるころです。昼間はまだ厳しい暑さが続きますが、朝夕の風にかすかな秋の気配がまじります。日の入りも少しずつ早くなり、夕方の空の色に季節の移ろいが表れます。

英語では “Cool winds blow”

第38候・8月13日〜8月17日ごろ

寒蝉鳴ひぐらしなく

夕暮れに、ひぐらしの声が響くころです。「カナカナ」と澄んだ声で鳴くひぐらしは、夏の終わりを感じさせる音として親しまれてきました。お盆の時期とも重なり、どこか物さびしい季節の始まりを告げます。

英語では “Evening cicadas sing”

第39候・8月18日〜8月22日ごろ

蒙霧升降ふかききりまとう

朝夕に、深い霧がたちこめるころです。昼と夜の気温差が大きくなり、山あいや川辺では霧が発生しやすくなります。「蒙霧」は、もうもうと立ちこめる深い霧のことです。

英語では “Thick fog descends”

処暑しょしょ8月23日ごろ・End of heat

「処」にはとどまるという意味があり、暑さがようやくおさまりはじめるころです。朝夕に涼しさを感じる日が増える一方、台風の多い時期でもあります。

第40候・8月23日〜8月27日ごろ

綿柎開わたのはなしべひらく

綿の実を包む萼(がく)が開きはじめるころです。萼がはじけると、中から白くふわふわとした綿毛が顔を出します。この綿毛から糸をつむぎ、木綿の布が作られます。

英語では “Cotton bolls open”

第41候・8月28日〜9月1日ごろ

天地始粛てんちはじめてさむし

ようやく暑さがしずまりはじめるころです。「粛」には、引きしまる、しずまるという意味があります。天も地も夏の勢いを少しずつおさめ、秋へと向かっていきます。

英語では “Heat starts to die down”

第42候・9月2日〜9月6日ごろ

禾乃登こくものすなわちみのる

稲が実り、穂が垂れはじめるころです。「禾」は稲などの穀物、「登」は実ることを表します。このころは台風の多い時期でもあり、実った稲が倒されないよう、昔から各地で風を鎮める祭りが行われてきました。

英語では “Rice ripens”

白露はくろ9月7日ごろ・White dew

草花に降りた露が、朝日を受けて白く光って見えるころです。秋の気配が一段と深まっていきます。

第43候・9月7日〜9月11日ごろ

草露白くさのつゆしろし

草に降りた露が、朝日を受けて白く光るころです。夜の気温が下がり、朝の草むらに露がつきやすくなります。露の白さは、秋が深まっていくしるしです。

英語では “Dew glistens white on grass”

第44候・9月12日〜9月16日ごろ

鶺鴒鳴せきれいなく

水辺でせきれいが鳴きはじめるころです。せきれいは長い尾を上下に振りながら歩く小鳥で、川原や田んぼでよく見かけます。日本の古い神話にも登場する、昔から身近な鳥です。

英語では “Wagtails sing”

第45候・9月17日〜9月22日ごろ

玄鳥去つばめさる

春にやってきた燕が、南へ帰っていくころです。子育てを終えた燕たちは群れになり、暖かい国へと旅立ちます。春の「玄鳥至」と対になる候です。

英語では “Swallows leave”

秋分しゅうぶん9月23日ごろ・Autumn equinox

昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、秋のお彼岸のまん中にあたります。ここから夜の時間が少しずつ長くなっていきます。

第46候・9月23日〜9月27日ごろ

雷乃収声かみなりすなわちこえをおさむ

夏のあいだ鳴り響いていた雷がおさまるころです。入道雲も見られなくなり、空は高く澄んだ秋の空へと変わっていきます。春の「雷乃発声」と対になる候です。

英語では “Thunder ceases”

第47候・9月28日〜10月2日ごろ

蟄虫坏戸むしかくれてとをふさぐ

虫たちが土の中にこもり、入口をふさぐころです。冬ごもりの準備を始める時期で、春の「蟄虫啓戸」と対になっています。秋の彼岸を過ぎ、日が短くなっていくのが感じられます。

英語では “Insects hole up underground”

第48候・10月3日〜10月7日ごろ

水始涸みずはじめてかるる

田の水を落とし、稲刈りの準備をするころです。水を抜いて田を乾かすことで、稲刈りがしやすくなります。黄金色の田んぼで、いよいよ収穫の季節が本格的に始まります。

英語では “Paddies are drained”

寒露かんろ10月8日ごろ・Cold dew

草木に降りる露が冷たく感じられるころです。空気が澄み、秋の夜長に虫の声が響きます。

第49候・10月8日〜10月12日ごろ

鴻雁来こうがんきたる

北の国から雁が渡ってくるころです。その年に初めて渡ってくる雁は「初雁(はつかり)」と呼ばれ、秋の訪れを告げる便りとされてきました。春の「鴻雁北」と対になる候です。

英語では “Wild geese return”

第50候・10月13日〜10月17日ごろ

菊花開きくのはなひらく

菊の花が咲きはじめるころです。旧暦の九月九日は「重陽の節句」で、菊の花を浮かべた酒を飲んで長寿を願う習わしがありました。菊は日本の秋を代表する花のひとつです。

英語では “Chrysanthemums bloom”

第51候・10月18日〜10月22日ごろ

蟋蟀在戸きりぎりすとにあり

戸口の近くで、秋の虫が鳴くころです。ここでの「きりぎりす」は、今のこおろぎを指すとも言われます。秋が深まるにつれて、虫の声は野原から家の近くへと移ってきます。

英語では “Crickets chirp by the door”

霜降そうこう10月23日ごろ・Frost descends

朝晩の冷えこみが強まり、霜が降りはじめるころです。山々では紅葉が色づき、冬の足音が近づいてきます。

第52候・10月23日〜10月27日ごろ

霜始降しもはじめてふる

山里などで、霜が降りはじめるころです。朝晩の冷えこみが強まり、霜が草木を白く覆います。木々の紅葉が一段と色づくのもこのころです。

英語では “First frost”

第53候・10月28日〜11月1日ごろ

霎時施こさめときどきふる

小雨がさっと降っては止むころです。「霎時」は、しばらくのあいだという意味です。秋の終わりから冬にかけて、降ったり止んだりする雨は「時雨(しぐれ)」と呼ばれます。

英語では “Light rains now and then”

第54候・11月2日〜11月6日ごろ

楓蔦黄もみじつたきばむ

もみじや蔦が、赤や黄に色づくころです。木の葉が色づくことを昔は「もみつ」と言い、それが「もみじ」の語源とされています。山々が錦のように彩られ、紅葉狩りの季節を迎えます。

英語では “Maples and ivy turn”